10月26日のリサイタル、今回のゲスト・コンポーザーは井上一平さんです。
一平さんとは、ボストン在住時代にニューヨークの友人を通して出会いました。
当時ボストンのバークリー音楽院をご卒業後、ニューヨークの大学院で研鑽を
積まれていらっしゃる時期だったと思います。私はちょうど
『新進作曲家・書き下ろし作品初演コンサート』的な企画を思案中で、
ニューヨーク在住の作曲家で作品を提供して下さる方を探していました。
友人も快く参加してくれましたが、他にも推薦していただける方はいないだろうか?
と聞いたところ『バークリーでの同門に、素晴らしい人がいるよ!』と、
一平さんをご紹介いただいたのです。折よく<Seriel Preludes> を書かれたばかり
と言うことで音源を聴かせていただき、そのセンス、クオリティの高さに感嘆し、
ぜひとも曲を書いていただきたい!と、直ぐにお願いした記憶があります。
そして快くご承諾下さり、企画のためにクラリネットとピアノの素敵なデュオ曲を
書いて下さいました。
その後も、初めに聴いた<Seriel Preludes>の抜粋をコンサートで弾かせていただいたり、
またその曲が12音技法の曲(*参照)でしたので、その曲の音をモチーフに油絵を描いたりも
しました。絵葉書も作りましたので、ご存知の方もいらっしゃるかも知れません。
(*)12音技法とは....
1オクターヴ内の音(12音)を1個ずつ重複しないようにランダムに配置して音列を作り、
それらの音に音価(4分音符、2分音符など)とリズムをつけて順番に並べてゆく。
伴奏も和音も全て、この音列を、初めに決めた順番通りに使って一曲を作る技法。
それまでのクラシック音楽の「調性」から逃れようとする試みで、
1900年初頭あたりから始まった。ウェーベルン、ベルク、シェーンベルクなどが有名。
このような出会いを経て、いつかコンサートで弾かせていただきたいなぁ、
と長く思っていた事が、実現いたします!
現在一平さんは東京を拠点にご活躍中で、現代音楽はもとより、
TVプログラムのテーマ曲(NHKコズミック・フロント)作曲、番組の為の編曲、
シンガーの方々とのコラボレーション、アニメ作品(ブルー・ピリオド)
サウンドトラックへの曲提供などなど、幅広い分野で第一線でご活躍です。
そんな一平さんの貴重な曲を、今回はチェロとピアノのデュオに編曲していただき、
演奏いたします。私も大好きなアニメのテーマ曲、興味津々のTVプログラムの曲を
演奏出来るなんて!!と今からちょっとドキドキしています。